- 更新日 : 2024年8月8日
中古トラックの減価償却はどうする?耐用年数や仕訳を解説
中古トラックを購入したときは、法定耐用年数に従って減価償却します。国税庁で紹介されている法定耐用年数と中古資産の計算方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。また、実際に減価償却する場合の仕訳例も紹介します。ぜひ正しい会計処理に活用してください。
目次
中古トラックを減価償却する際に知っておきたいこと
トラックの法定耐用年数は、運送事業に用いるかどうかや、積載量・排気量などによって異なります。また、一般的にトラックと呼ばれる車両であっても、人や運搬を目的としない車両に関しては機械装置に分類され、法定耐用年数も異なる点に注意が必要です。国税庁の別表から耐用年数について紹介します。
トラックの耐用年数
トラックの耐用年数は、トラックを運送事業用の車両として用いるか、運送事業用以外に用いるかによって異なります。
運送事業用に用いる場合は、以下のとおりです。
- 積載量2トン以下、総排気量2リットル以下の車両:3年
- 総排気量3リットル以上の車両:5年
- その他の車両:4年
運送事業用以外に用いるトラックに関しては、法定耐用年数は以下のとおりです。
- 総排気量0.66リットル以下:4年
- ダンプ式の貨物自動車:4年
- その他の貨物自動車:5年
- 報道通信用の車両:5年
- その他の車両:6年
例えば、運送事業に用いないダンプ式の貨物自動車を購入したときには、法定耐用年数は4年となり、購入費用を4年間で減価償却します。
ただし、トラッククレーン、ブルドーザー、ショベルローダー、ロードローラー、コンクリートポンプ車などのように人の運送やものの運搬を目的としない車両で、主に作業場での作業を目的としたものは、機械及び装置として扱います。これらの車両はいずれも「総合工事業用設備」に分類され、法定耐用年数は6年です。
中古トラックの耐用年数の計算方法
先ほどリストアップした法定耐用年数は、新車として購入したときに適用される年数です。
しかし、中古トラックとして購入した場合は、法定耐用年数では減価償却しません。
次のいずれかの方法で耐用年数を計算します。
法定耐用年数の全部を経過した資産
法定耐用年数の一部を経過した資産
上記の計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てて調整します。また、調整した年数が2年に満たない場合には耐用年数を2年として減価償却をします。
例えば、運送事業に用いる総排気量が3リットル以上の中古トラック(新車の場合の法定耐用年数:5年)を購入したとしましょう。製造から7年目の中古トラックを購入した場合は、すでに法定耐用年数をすべて経過しているため、法定耐用年数の20%に相当する年数は5年×0.2=1年ですが、計算した年数が2年未満のため、減価償却の際に用いる耐用年数は2年となります。
一方、2年目の中古トラックを購入した場合は、法定耐用年数の一部を経過しているため、元々の法定耐用年数は5年、経過した年数は2年なので、先ほどの計算式に当てはめると下記のようになります。
端数を切り捨てると3年になるため、減価償却の際に用いる耐用年数は3年となります。
中古トラックの耐用年数は必ず2年以上になる
中古トラックの耐用年数は、元々の法定耐用年数を超えているかどうかで計算方法が異なります。しかし、いずれの方法で計算する場合でも、最終的に求めた年数が2年未満のときは「耐用年数は2年」とするため、すべての中古トラックの耐用年数は2年以上です。購入した費用を耐用年数で減価償却し、適切に仕訳をするようにしましょう。
中古トラックを減価償却する際の仕訳
中古トラックを減価償却する方法には、定額法と定率法の2つの方法があり、原則、個人事業主が定額法、法人が定率法となります。
ただし、法人設立したときに減価償却の方法について別途届出を提出することで、変更することが可能です。また、定額法・定率法のいずれの方法でも、減価償却した費用の合計は変わりません。
それぞれの方法の使い分けと具体的な仕訳例を紹介します。
毎年同額を償却する定額法
定額法とは、毎年同額を償却する方法です。例えば、100万円で購入した中古トラック(運送事業用、総排気量3リットル、7年経過)であれば耐用年数は2年となるため、1年ごとに50万円ずつ減価償却費として計上します。
なお、減価償却費の仕訳に関しては直接法と間接法があるので注意が必要です。間接法では貸方の勘定科目を「減価償却累計額」とし、毎年の減価償却費を累計していきます。定額法による1年目の仕訳は以下のとおりです。
直接法
減価償却 1年目/2年 |
間接法
減価償却 1年目/2年 |
初年度に多めに計上する定率法
定率法とは、初年度に減価償却費を多めに計上し、徐々に減らす減価償却の方法です。
例えば、1年経過した中古のショベルローダー(耐用年数6年)を200万円で購入したとしましょう。調整した耐用年数は5年となります。この場合、定率法による5年間の減価償却費は以下のようになります。
- 1年目:800,000円
- 2年目:480,000円
- 3年目:288,000円
- 4年目:216,000円
- 5年目:216,000円
定率法による1年目の仕訳は以下のとおりです。
直接法
減価償却 1年目/5年 |
間接法
減価償却 1年目/5年 |
減価償却とその計算方法についてより詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
法定耐用年数に応じて正しく減価償却しよう
法定耐用年数を正確に把握することで、正しく減価償却できるようになります。中古の資産に関しては法定耐用年数を用いて調整した耐用年数で減価償却するため、正確に計算することも必要です。
また、トラックは用途や総排気量、設備として扱うかによっても法定耐用年数が異なります。購入したトラックがどの区分に属し、法定耐用年数が何年になるのか正しく理解しておくことも必要です。
減価償却の方法には定額法と定率法があり、原則として個人は定額法、法人は定率法を用います。また、直接法と間接法の違いにも注意が必要です。貸方の勘定科目に「減価償却累計額」を記載するかどうかによって方法が分かれるため、正確に理解しておきましょう。
よくある質問
中古トラックの耐用年数は何年ですか?
運送事業用に関しては総排気量により3~5年、その他の用途に関しては総排気量や種類により4~6年、作業場で作業する用途の中古トラックは機械設備に分類するため6年です。詳しくはこちらをご覧ください。
減価償却の際に、耐用年数を過ぎた中古車を購入した場合はどうすればいい?
元々の法定耐用年数の20%の年数を耐用年数とします。ただし、2年未満のときは2年とカウントします。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ソフトウェア資産管理台帳とは?テンプレートをもとに作成方法を解説
企業が所有するソフトウェア資産を適切に管理し有効活用するには、ソフトウェア資産管理台帳の作成が効果的です。ソフトウェア資産管理台帳の作成によって、業務の効率化やコスト削減、セキュリティ強化などが期待できます。 本記事では、ソフトウェア資産管…
詳しくみる償却保証額とは?減価償却の定率法との関係や計算方法をわかりやすく解説
償却保証額は、定率法の減価償却で最低限確保すべき基準額です。定率法はもうひとつの減価償却の手法である定額法と比較すると計算が複雑になりやすいため、償却保証額などについてわかりにくさを感じることもあるかもしれません。 本記事では、償却保証額の…
詳しくみる固定資産の取得価額と減価償却の基本を解説
固定資産は、取得価額をもとに減価償却(取得価額を耐用年数にわたって資産から費用に計上していくこと)を行います。固定資産の取得時には、本体価格だけでなくさまざまな費用がかかるのが一般的ですが、減価償却の対象にはどこまで含めることができるのでし…
詳しくみる減価償却費の計算方法は?定額法・定率法の違いや注意点もわかりやすく解説
減価償却の計算は、取得した固定資産の種類によって異なります。本記事では、減価償却の計算方法を、具体例を用いて解説します。 また、減価償却の計算をするにあたって押さえておきたい注意点や、仕訳の方法もまとめて取り上げるため、ぜひ最後までご覧くだ…
詳しくみる空気清浄機の減価償却を解説!耐用年数や仕訳は?
家具や家電はその種類によって、国税庁が定める耐用年数が異なります。そのため「空気清浄機は減価償却できる?」「空気清浄機の耐用年数は?」と考える方も多いでしょう そこで、本記事では空気清浄機の減価償却や耐用年数などについて詳しく解説します。国…
詳しくみるリース資産の減価償却を解説 | 減価償却費の計算から仕訳まで
機械や運搬具など、固定資産の種類によっては購入価格が高額になるものがあります。特に、規模の小さな会社で高額の固定資産を自己資金で取得すると、キャッシュ・フローが悪化することにもなるでしょう。購入時に一時的に費用を負担するのではなく、毎月の費…
詳しくみる