- 作成日 : 2024年10月4日
四半期決算とは?作成義務の改正やメリット、手順を解説
四半期決算とは、四半期ごと(通常は3か月に1回)に決算を行うことです。上場企業については、四半期ごとの決算短信の提出が定められているため、四半期決算が必要です。この記事では、四半期決算報告書に関する改正や作成のメリット、作成の手順などを解説します。
目次
四半期決算とは
四半期決算とは、会計期間を4期に区分して行う決算のことです。第1四半期を1Q、第2四半期を2Q、第3四半期を3Q、第4四半期を4Qといいます。四半期決算は中間決算や本決算と比較すると、以下のような違いがあります。
本決算 | 中間決算 | 四半期決算 | |
---|---|---|---|
決算の頻度 | 年に1回(決算日) | 年に1回 (決算の翌日から6か月を経過する日) | 年に4回 (Q2は中間決算、Q4は本決算と同時期) |
簡便な処理 | 認められない | 認められる | 認められる |
本決算、中間決算、四半期決算などの決算の種類や詳細については、以下の記事をご覧ください。
2024年から四半期決算報告書が廃止された
上場企業については、金融商品取引法により四半期報告書の提出が義務付けられていました。しかし、2023年に金融商品取引法の改正が国会で可決されたことで、2024年4月に開始される四半期からは、四半期報告書の提出義務が廃止されました。
四半期報告書の廃止を受け、四半期の決算状況の開示については四半期短信に統一され、四半期報告書に代わり半期報告書の提出義務が生じることになりました。
四半期報告書と四半期短信の違いは、開示される情報の量と開示速度です。四半期短信は決算日以後速やかに開示される決算書であるため、開示される情報の量は四半期報告書と比較して少なめです。情報開示の効率化などの観点から四半期報告書の提出が廃止され、四半期短信に一本化されました。
四半期報告書を作成するメリットは?
金融商品取引法で提出が廃止された四半期報告書ですが、企業が独自に開示することには何の問題もありません。
依然として提出義務のある四半期決算短信と比べて、四半期報告書には経営状況がより詳しく記載されています。四半期報告書を作成して株主などに開示することは、会社の経営状況をより明確にする意味でも重要です。
近年のビジネスは目まぐるしく変化するため、半期報告書だけでなく四半期報告書も作成することで、株主や投資家により多くの判断材料を提供できるでしょう。また、経営陣が会社の経営状況の詳細を四半期ごとに確認できるため、早期に経営戦略を転換できるというメリットもあります。
四半期報告書に含めるべき書類は?
四半期報告書で含めるべき書類は、以下の通りです。
上記の財務三表の内容は本決算で提出する財務三表と同じですが、会計期間が4期に区分されている点が異なります。また、四半期報告書は以下の内容を含めて作成します。
- 企業情報(財務情報や重要な指標など)
- 事業の状況(事業のリスクや契約など)
- 提出会社の状況(株式や役員の状況など)
- 経理の情報(財務三表の他、注記やセグメント情報)
- 監査報告書(監査法人によるレビュー)
四半期損益計算書
損益計算書(P/L)は、会社の売上高や利益がわかる書類です。収益と費用の勘定科目で構成されます。損益計算書について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
四半期貸借対照表
貸借対照表(B/S)は、会社の財政状況がわかる書類です。資産、負債、純資産の勘定科目で構成されます。貸借対照表について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
四半期キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書(C/F)は、現金および現金同等物の入金や出金の流れがわかる書類です。会社の資金繰りを把握するのに役立ちます。キャッシュ・フロー計算書について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
四半期報告書を作成する手順
四半期報告書は以下の手順で作成します。
- 四半期の会計処理を行う
- 決算整理仕訳を行う
- 変更点など注意事項をまとめる
- 四半期損益計算書・四半期貸借対照表・四半期キャッシュ・フロー計算書を作成する
- 監査法人から監査を受ける
- 四半期報告書として開示する
四半期報告書で作成する決算書は、本決算のように厳格な会計処理は求められません。本決算同様に作業を進めると時間もコストもかかるため、簡便な方法で作成できます。例えば、実地棚卸の省略、減価償却や経過勘定の簡略などが可能です。また、財務諸表は主要項目のみを記載することもできます。
四半期は会計期間を4期間に区分して決算をすること
四半期決算とは、会計期間を4期間に区分して決算を行うことです。上場企業については、四半期決算報告書は廃止されましたが四半期決算短信の提出義務があるため、四半期決算が必要です。上場していない企業は任意で四半期決算を行い、必要に応じて株主などに開示します。四半期報告書を作成する場合は、四半期損益計算書、四半期貸借対照表、四半期キャッシュ・フロー計算書を添付します。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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